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①仏胴腰取丸胴具足 鉄黒漆塗風折烏帽子形兜付(広島県重要文化財)
桃山時代 16世紀
胴高37.0cm 草摺長21.3cm 
鉢高31.0cm 前後径22.0cm 
左右径18.6cm

 胴は鉄板札製の丸胴で、塗込めて一枚張仏胴とし、前後に銀で大きく月輪を描いて堂々とした風格を与えている。草摺は六間五段下がり。兜鉢は厚手の鉄で風折烏帽子を象る。小具足は、錆地に荒い鑢目を入れた鉄打出烈勢頬、大きく力強い瓢を持つ皺瓢籠手、伊予佩楯、七本篠脛当、紺木棉の足袋、草鞋などを皆具する。本品は、宗箇が大阪夏の陣の際、樫井戦で着用したものと伝え、戦国武将の趣向を示した個性的な作品である。
 また、厳島神社には、本具足とほぼ同形式の二番具足が上田家より寄進されている。

②鉄黒漆塗四十八間総覆輪筋兜 春田時貞 作
室町時代 15世紀 
鉢高11.0cm 前後径23.4cm

 総覆輪筋兜は、美麗で気品があるため、上級武将の兜として室町時代に流行した。兜鉢は阿古陀形で、鉄地に黒漆を厚く塗り、各筋には鍍金板を懸け、裾には斎垣を巡らす。篠垂は前三乗、後二条を置く。
 眉庇には桐唐草文を透彫した鍍金の鍬形台、天辺には七重の八幡座を置く。鉢は室町時代中期に遡るもので、宗箇所用と伝えられ、後勝鐶の卍紋は、宗箇が寄寓していた蜂須賀家との関連も想像させる。
 また作者の春田時貞は奈良春田派の甲冑師で、在銘品は少なく資料的価値も高い。

③槍 無銘
室町時代 16世紀 
穂長38.5cm

 平三角造。裏に角留の太い樋を掻く。塩長は長く五角形。地鉄、板目流れて柾がかる。刃分、細直刃、僅かに小乱れ、匂口締まり心に小沸よくつく。
 帽子、小丸。生ぶ茎。鑢目、切りに鋤。本品は、室町時代末期の大和鍛冶の作と思われ、宗箇が樫井戦の際に板団右衛門直之との槍合わせの際に用いたものといわれている。

④緋地立浪文陣羽織 上田宗箇着用
桃山時代 16~17世紀
丈77,0cm 肩巾45,0cm

陣羽織は、桃山時代になると、南蛮文化の影響もあり、デザインや素材に意が注がれ、存在を顕示する様々な趣向が凝らされた。本品は輸入品である緋の羅紗地に、大きく立浪文を縫いつけ、全体を黒皮で縁取りする。また、襟には瓢唐草文の金蘭を用い、掛け合わせには白羅紗地にに唐草を刺繍し、黒羅紗をはめ込んだ装飾を施す。宗箇が大坂夏の陣で着用。確かに焼け焦げの跡がある。

⑤黒羅紗地陣羽織
桃山時代 17世紀
丈100,0cm 巾138.5cm

 陣羽織は鎧の上に着用された短衣で、桃山時代以降盛んに用いられた。防寒、防雨など実用的な機能の他、戦場での存在顕示や威儀の服装としての機能も果たした。本品は当時、舶来品であった羅紗を用いた袖付の陣羽織で、胴は黒、袖部分は紅地とし、襟には金糸、銀糸を用いた錦織とする。直線的で大胆な意匠が優れている。

⑥金地菊文扇子
江戸時代 17世紀 
長30.0cm

 九世紀頃には日本で発明されたとされる扇は、招涼の具として発生し、後には様々な儀礼の具としても用いられた。  また、室町時代末期より、陣中での儀礼にも使用され、軍扇、軍陣扇などと称された。軍扇の形状は十本前後の骨に地紙を両面に貼り、表に日輪、裏に月輪を描くものが多い。本品は、竹製で磨きのある平骨を用い、要は胴製とする。金地の裏表には朱で八重菊を描き、宗箇所持の品と伝えられる。